「いやいや ダメダメ期」の子育て奮闘中のお父さん・お母さん、お子さんと一緒に「だめだめ」と言ったり、イライラしていませんか? 時には「怒り」の感情が大きくなり怒鳴ったりしていませんか?その「怒り」の捉え方と対処法について考えていきたいと思います。
感情に支配されない子育て
子どもに対する声かけや対処法を考えている一方で、見逃しがちなのが親自身の気持ち。
「どうして、こんなにイライラしてしまうのだろう。」
「あの時、私はなぜあんなに怒ってしまったのだろう。」
「もう、気持ちに余裕が無くて涙が出てくる。」
こんな風に親自身が自分を責めてしまうこともしばしば。
しかし、親にも感情があって、その気持ちにフタをし続け我慢してしまうと、一番助けてもらいたい自分自身の心の声を大事にできなくなってしまいます。
子育てにおいて、悩みの目線は子ども達の言動にいきがちですが、親自身の感情に焦点をあててみると現状の捉え方を変える大事な視点となります。
今回は、「怒り」の感情についてアドラー心理学における捉え方やアンガーマネジメントの対処法から効果的な学びをまとめてみました。
怒りの感情とそのメカニズムとは
例えば、子育てのシーンに置き換えると、買い物に行った時、「お母さんのそばから離れないでね」と何度も話しかけていたにもかかわらずいなくなってしまった。周りを探してみても見つからなくて、心配と不安でいっぱいになりました。その時店内の放送があり無事でいることがわかりました。
子どもと再会したときの第一声は「どうしてお母さんのそばから離れたの」と言う怒りの言葉を発声してしまいました。
アドラー心理学では、怒りは二次感情で、他の一次感情が元で表面化するものと定義されています。
一次感情:不安・悲しさ・辛さ・落胆・悔しさ・苦しさ
二次感情:怒り
子どもがいなくなったと言う時の感情は一次感情:心配・不安・悲しさなど、
子どもと再会した時、安心したと同時に二次感情:怒りに陥り子どもに対して怒りの感情(二次感情)「どうしてお母さんの話を聞けなかったの」をぶつけてしまいます。
日本人はどちらかと言うと二次感情(怒り)を言葉にしてしまう傾向があるようです。
再会したとき子どもに対する言葉は一次感情:「とても心配したの」「会えてよかったわ」など一次感情を伝えることは、親に愛されていると実感し二度と心配をかけないと反省していくと考えます。
また、道路での飛び出し、車の危険な追い越しなどの場合も、一次感情:危ない・どうしよう・不安・・・・次に二次感情(怒り)となります。
では、なぜ人は怒りの状態二次感情に陥るのでしょうか。
アドラーの提唱するのは「個人心理学」と言われていて、
人は自分の達成したい目的があって生きており、それと状況がそぐわない時、それを受け入れられず、一次感情とともに怒りの感情が湧いてくるというのが「怒りのメカニズム」です。
なぜ怒りの感情が出てくるのでしょうか。
アドラーでは、下記の4つのパターンを定義しています。
怒りの目的、4つのパターン
①支配:自分の思う様にしたい。
②主導権争いで優位に立ちたい:主導権を自分が持ちたい
③権利擁護:自分の身や立場・権利が侵されそうになったとき
④正義感の発揮:自分の信念や正しいと思っていることが破られたりしたとき
子育てにおける親の感情のイライラは、親自身がこうであるべき、こうするべきと思っている価値観が強く、子どもの言動を許容できない時に起こるものなのかもしれません。
どんな時にその感情に陥るのかを思い出してみたり、怒りのパターンがないか振り返ってみると、怒りの感情自体を否定しているのではなく、その感情の捉え方を変えてみたり、言い方を変えることは、感情に任せた対応をせずに済むことができます。
怒りの感情のコントロール方法
①「〇〇すべき」の価値観を手放してみる
子育てにおいて、「〇〇すべき」という親の価値観が強すぎると、子供達が違う言動をしたときや言うことを聞かない時にイライラしてしまいます。一度、自分の価値観は自分目線や自分にとっての判断基準になっていないかを考えてみましょう。
②怒りを感じた時、6秒カウントをする
これは脳科学の視点からも効果があると言われています。
感情を司る大脳辺縁系が、怒りを感じたときにそれを抑制したり、理性的な判断を行う前頭葉が働くまでに3〜5秒時間がかかるということも、脳科学の観点から解明されています。
③その場から離れる
怒りを鎮めるのに、6秒をその場で待つということも意外と難しいもの。そんな時は、その場から一旦離れトイレや別の部屋にいくなど物理的に動いてみましょう。
また、深呼吸をしたり、外の風にあたるなど怒りを鎮めるのに効果的な行動のルーティン化を図るのもおすすめです。
最後に
子供がまだ幼児期だったりすると、言われていることをまだ理解できなかったり、すぐ忘れたりすることもしばしば。
また、親の興味を引きたくて駄々をこねるということもあります。
しつけの中で、危ないことや他人に迷惑がかかること、現状の問題が何かを子どもに伝える時には具体的に話すこと、相手の立場や気持ちに立つこと、どうやったら解決できるかを子どもに考えてもらう(アドラーの「課題の分離」)なども大事な視点です。
また、子どもの気持ちや言い分を聞いてあげることで、受容されているという安心感が子どもの自尊心を育てるとも言われています。
アドラー心理学では、人は上下関係はなく親子でも対等の関係(横の関係)であるべきと提言しています。
親自身も感情に任せず、上手く自分の感情のコントロールや価値観の再定義をしてみると、自分自身にとっても子どもにとっても信頼関係が築け、悩まずに子育てができるようになれるのかもしれません。
スイミング中に焦らず、子どもに 一次感情:を伝えましょう (アイメッセージ)で
このような子育てに接している子どもは、将来子育てをする親の立場になった時、きっと引き継がれていくことでしょう。明るい輝かしい未来ですね。