I.S.Mを引き出す指導とは
前回(VOL.3)ではI.S.Mについて述べました。このI.S.Mを引きだすための注意点を考えていきたいと思います。
赤ちゃんは個々に好むリズムがあります。このリズムに合わせて、お父さんお母さんは動きます。一般的には大人が好むリズムよりゆっくりです。
赤ちゃんを抱っこして、水の中に入り赤ちゃんが落ち着いたように感じられたなら、お父さんお母さんの手指は力を抜いて大きく開き、赤ちゃんの胸を両手で支えます。腋の下ではなく胸です。(腋の下を持つと肩が上がりリラックスしにくい)そして、お父さんお母さんは腰を左右に捻り、赤ちゃんを水にフィットするように横揺れにしてあげます。そして、赤ちゃんの瞳を見ながら微笑んであげましょう。
同時に、赤ちゃんの手指を観察します。お父さんお母さんと赤ちゃんのリズムが合うと、赤ちゃんは手指を開きバシャバシャと水面を叩くようにしたり、水をキャッチする動作が見られます。これらは、一人泳ぎの手の動きに発展して行きます。
リズムが親子で合わない場合は、手指は開かずグーと握り締めています。リズムをゆっくりしてあげると赤ちゃんは手、足を動かしはじめます。
リラックスねんねの補助の仕方は年齢によって異なります。
赤ちゃんを後ろ向きに抱きお父さんお母さんの左胸に引き寄せます。左手は赤ちゃんの胸の上に軽く乗せ、右手は赤ちゃんのお尻を支えます。
お父さんお母さんの足は前後に開き、前足に体重をかけ、後ろ足に体重をかけ、交互に重心の移動をします。後ろ足に体重移動をする時やや胸を逸らしていき、お父さんお母さんの肩に自然に赤ちゃんの頭が乗り、リラックスした様子であれば、さらに赤ちゃんの頭をお父さんお母さんの胸の中央まで移動します。手は両手を伸ばし赤ちゃんの身体を包むように支えます。
この時、赤ちゃんの髪の毛は水に濡れ、耳も水に浸かりますが、0歳代のほとんどの赤ちゃんはリラックスしています。リラックスしている赤ちゃんはお父さんお母さんの胸から上下動を加えないように、横抱きにして水面に浮かせます。そして、赤ちゃんの顔を覗き込み、微笑んであげましょう。おご、おごなどと喃語を話し始めます。必ず言葉を返しましょう。
コミュニケーション能力の第一歩です。
さらにリラックスが進み、指一本でも水面に浮く事が出来る様になります。静かなブールの波に乗って漂って、寝てしまうこともあります。
ここで大切なことは、赤ちゃんの体の向きを変える時に上下に動かさないようにしながらスムーズにする事です。
また1歳以上の赤ちゃんで髪の毛が濡れたり耳が水に浸かることを不快に感じる場合には無理に仰向けにしない事です。
行動範囲が広がった赤ちゃんは、活発に動く教程を好み、楽しんでいるうちに他の方法で、ねんねリラックスをしていくようになります。
カリキュラムを構成する場合は、一つのものが出来てから次の一歩に進むという階段式ではなく、子どものその年代の発達に合わせ、無理の無い教程を、色々与えてステップアップさせていく、螺旋階段式カリキュラムを構成する事がI.S.Mを引き出し、赤ちゃんの無限の可能性を引き出すきっかけとなります。
ベビースイミングに通っている2歳のK君です。
この1枚、すごいことがいっぱいです。
⭐️しっかりと前を見て腰の上がった水平体位、前腕を伸ばし、水を掴む動きとつながっています。
⭐️後方の腕は、肘を曲げ(ハイエルボー)水を後ろへかく動作になっています。
⭐️口を閉じ息を止め水を飲んでいません。
これらの動きは赤ちゃんのI.S.Mにより自然に引き出されたものです。
強制し作り上げたものではありません。
水をオモチャにして遊んで得た形と、教えこまれた動きは、同じ様に見えても感覚は違ったものなのです。指の開きの間隔、水をキャッチする角度など教えられて、出来るものではありません。
I.I.S.P(国際プログラム研究所)のベビースイミングでは年齢に応じ、ヘルパーとフィックスを使用することで水中での重心の位置を適切に保ち、運動の支点を整え、体幹を使った動きを引き出すようにしています。
泳ぎの形ではなく、手の平、足の裏、甲が水とうまくフィットして動くという泳ぎのための自然な動きの原型を引き出すことを大きな目的のひとつとしています。
カルキュラムの発展は、ベビーから選手まで一貫した指導法を行うことが理想です。
育児の基本は、焦らず、比べず、諦めずです。これを忘れずにベビースイミングを親子で楽しみ、共感して下さい。赤ちゃんの遊びはすべて学習、能力開発になります。さーあ? あなたは、赤ちゃんにどんな環境を与えますか?
脳は出会いによって育ちます